数年前はパリと近郊の移動にVelibベリブと呼ばれる自転車のシェアリングサービスが便利で、わたし自身パリ市内を散歩するのに使っていましたし、使い方が簡単なので観光客にも人気でしたが、最近はキックボードのシェアリングサービスがそれに取って代わるようになってきました。
自転車よりコンパクトで、アプリさえスマホにインストールしておけば、キックボードを路上で見つけ次第、アプリ画面をかざしてさっと使え、何よりVelibより便利なのは、自分が降りた場所にそのまま乗り捨てができること。
…だったのですが、パリ市によると現在パリ市内にフリーフローティング(フリーシェアリング)と呼ばれるレンタルキックボードは15000台ほどあり、年末までには4万台くらいになるそう!
さすがに取り締りをしないわけにも行かなくなり・・・議会での決定を待たずにパリ市と警察がとうとう動き始めてしまいました。
電動キックボードで捕まると海外でどうなる?フランス・パリの場合
2019年3月末のパリ。
パリのレンタルキックボードにはじめての罰金が発生しました。
フランスのメディアサイトによると、35ユーロ、迷惑駐車(駐輪と言ったほうがふさわしい?)だったようです。
先日、フランス人の同僚がスポーツジムの前の歩道の上にいつものように2輪のスクーターをとめたら、警官が来て35ユーロの罰金を取られた、と嘆いていましたし、フランス政府の公式サイト(フランス語)を見ると、車両の一般的な駐車違反は35ユーロなので、レンタル電動キックボードに対しても、一般車両と同等の駐車違反がとられた、ということになります。
ただし、この駐車違反は違反行為がその場で確認されない場合は、レンタルキックボードのサービスプロバイダー(サービスを提供している会社)の責任となります。
駐車違反で撤去される電動キックボードについては、レッカーされる車両とは違って「粗大ゴミ」扱いになるので、シリアル番号が記録されたあと、一番近くのゴミ処理場に持っていかれるそうです。
そしてキックボードの引取を希望するレンタル電動キックボードのサービスオペレーターは35ユーロの罰金を支払って、キックボードを取り返すことができるというもの。
車両のレンタカーでの駐車違反の場合、フランスでは罰金の請求書を受け取ったレンタカー会社が、そのときにその車を借りていた人の証明をつけて罰金の請求書をセンターに送り返すと、センターは借りた人あてに直接罰金の請求書を再送してきます。
そしてレンタカー会社は別途手数料を請求してきます・・・
レンタル電動キックボードに対する罰金は始まったばかりですが、基本的にはレンタカー同様、35ユーロの罰金と何らかの手数料(事務手数料やキックボードの引き取りにかかったコスト)を借り手に請求することになるでしょう。
電動キックボードでパリの公道を走るときにも罰金!
さらに、フランスの新聞パリジャンによると、その後1週間の間にレンタル電動キックボードに対してなんと70もの罰金の切符や請求書が発行されたそうです。
駐車違反だけでなく、歩道上の電動キックボードでの移動には135ユーロの罰金が課されるそうですよ!
=4月27日追記=
昨日の夜のニュースを見ていたら、レンタル電動キックボードは、自転車道があるところは自転車道を走ること、と報道されていました。普通のキックボードは時速6km以内で、歩道を走ることになっています。
子供たちが習い事に行くのに、電動キックボードを買おうかと思っていましたが・・・公式には電動キックボードは公道禁止となっているし、少し遠いのでかわいそうだけれど、歩道を走れるキックボードを使わせ続けることにしました。
フランス人の間では「黄色いベストに速度違反取締のレーダーを壊されて、国は資金不足なんだよ!だから小さな理由をつけては罰金を取るようにしてるんだ」と言われていますが、パリ市は将来の電動キックボード専用の駐車場の建設のコストにすると言っています。
いずれにせよ、観光客にも人気の電動キックボードシェアリングサービスに対しても、本格的に罰金が課されるようになったということが言えます。
パリで電動キックボードをレンタルするときの注意点
問題があるのは2−3のサービスオペレーターだけなのに、今回のパリ市の動きについては、環境に優しい移動手段と考えるレンタル電動キックボードへの処置としてふさわしくない、という反対意見も出ています。
ただし、今回の駐車違反の罰金は、レンタル電動キックボードの専用駐車場を作る資金にするとパリ市ははっきり言っていますので、駐車違反の切符を積極的に発行していくことが考えられます。
パリでレンタルキックボードに乗るときの道路交通法についてはこちらでもまとめていますが、
前回こちらの記事をまとめてから数ヶ月しか経っていないのに、パリの電動キックボードシェアリングサービスに対するパリ市の取り決めや対応は確実に変化しています。
具体的にレンタル電動キックボードを駐車する場所については、例えばレンタル電動キックボードのサービスオペレーターの一つであるLIMEのサイトでは、
- 安全で適切な場所に駐車
- 車の交通を遮断しない
- 歩行者の通行を邪魔しない
- 私有地には停めない
としていますので、
- レンタル電動キックボードに乗るときは歩道を走らない
- レンタル電動キックボードを乗り捨てする場所に注意する
ということに気をつけましょう。
パリ市は、国としての法律の早急な策定を依頼する書簡を首相に送るとともに、2019年5月末までに9社の電動キックボードのレンタルサービスを展開する業者と、使用マナーに関する憲章にサインすることになっています。
今後はヘルメット着用や、専門の場所での駐車が義務付けられる可能性もあるので、レンタル電動キックボードを利用するときのサービスオペレータの指示をよく確認するようにしましょう。
レンタル電動キックボードに関する新しい動きがでたときには、引き続きわたしのサイトでもお知らせしていきたいと思っています。
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