3月8日は国連によって制定された国際女性デー。
特別な祝日や休日ではありませんが、フランスでももちろんこの日は国際女性デーです。
これまで職場のフランス人同僚や友人と直接この日のことを話したことは特になかったのですが、今週末パリではこの「国際女性デー」にちなんだデモ行進が行われると聞き、気になって調べてみたら、さすが社会主義の国フランス。
この国際女性デーには英語からフランス語に訳した名前の他に、フランスにはもう一つのこだわりの名前がありました。
今回はフランスでの国際女性デーの呼び名についてのエピソードの他、2019年フランスで行われる予定の国際女性デーのイベントの種類、またフランス人が国際女性デーに求めることはなにかについて、フランス現地の情報を調べてみたのでご紹介したいと思います。
国際女性デー、フランスにはどうして2つの表現があるの?
1977年、女性の権利を男性の権利と同等にすることを目指して国連によって制定された「国際女性デー。」
フランスではフランソワ・ミッテラン大統領によって、1980年代初頭に正式に制定され、毎年かならず3月8日に行われています。(曜日が変わるだけで、日にちは変わらない)
国際女性デーのことを英語からフランス語に訳すと「La Journée internationale de la femme 」となるのですが、調べてみると、フランス語では「la Journée internationale des droits des femmes 」という表現もあって、これは直訳すると「国際女性人権デー」という意味になり、こちらも同じく3月8日です。
なぜ国際女性デーをさすフランス語が2つあるのかというと、国連、ユネスコ、ユニセフの文書で国際女性デーがフランス語で表現されるときには「La Journée internationale de la femme 国際女性デー」となります。
一方、「la Journée internationale des droits des femmes 国際女性人権デー」というのは、1910年に開催された社会主義の女性たちの国際会議で、社会的フェミニズムのドイツの革命家とソビエトの政治家の女性二人がこの日の創設を提案したそうです。
その当時は3月8日という具体的な日にちは決まっていなかったものの、フランスでは、特に政府とアソシエーション団体がこの表現の使用にこだわっており、フランスでは「la Journée internationale des droits des femmes 国際女性の権利デー」の呼び名のほうが公式とされています。
確かにこの「人権」という言葉が一言入ると、ただの「女性の日」ではなく、「女性の人権を考える日」としてこの日の意味がより具体的になりますね。
改めて、フランスが社会主義国であることを実感するエピソードです。
国際女性デー2019、フランスではどんなイベントが行われる?
毎年3月8日には、フランスでも国際女性デーにちなんで、 コンフェランス(会議)、展示会、読書イベント、ワークショップ、フォーラム、パーティなどが行われます。
パリで行われる国際女性デーにちなんだ具体的なイベント内容を知りたければ、フランス語ですが、専門サイトがあって、今日時点で2019年に行われる国際女性デーにちなんだイベントは47もあります。
内容をチェックしてみると、コンファレンスやアトリエなどの真面目系なイベントの他にも、コンサートやDJライブ、軽く一杯を飲みながら語るアペリティフなども開かれるということですが、今年はなんと、11月から行われている毎週末の黄色いベストの抗議デモに合わせ、国際女性デーにちなんで抗議デモに参加する女性団体もあるようですよ!
具体的な内容については下記の記事にまとめています。
国際女性デー、フランスでイベントが行われる目的は?
フランスで国際女性デーに行われるイベントには、硬派なものから気軽に参加できるものまでずいぶん幅広いですよね。
ところで、このようなイベントを通してフランス人が国際女性デーに求めることは具体的に何でしょうか?
例えば、男女給料格差の問題がテレビのニュース番組で話題になることは普段から多いのですが、フランス統計局INSEEが発表した2013年のデータでは、フランスの女性の平均収入は男性の平均収入より19%も低かったものの、この数年でこの差は2,5%、わずかながら改善しています。
一方、国際女性デーに先立って行われた2019年のウィメンズ財団の調査では、
- 調査に回答したフランス人女性の80%が男女平等は前年比で改善していないという認識(回答者の63%は「状況に変化はない」、17%は「むしろ悪化している」と考えている)。
- 調査対象となった男女ともに、男女平等に向けた2019年の最優先課題は「ドメスティック・バイオレンス対策」(57%)。 「性的な暴力への対策」(55%)、「賃金格差是正」(33%)と考えている。
- 男女回答者60%は、出産後6週間の父親休暇の義務化に肯定的。
という結果に。
新聞le figaroなどのメディアによれば、フランスではドメスティック・バイオレンスでなんと3日に1人は女性が亡くなっているそうです。
(男性は14,5日に1人。)
男女関係なく、同じ就業内容であれば同じ給料をもらうべきだと考えること以上に、DVなどの家庭内関係の問題、家事や育児の負担など、統計数字にしにくい部分においても、男女間の平等性を求めているとのことがわかります。
たしかに、週末スーパーに買い物に行くと、買い物メモを片手に奥さんに電話しながら買い物をしているフランス人男性の方を多く見かけます。
日によっては男性を多く見かける日もあるくらいです。
我が家では買い物はほとんどわたしですが、家の中の家事は夫婦間でお互いやれることをやれる時にやれるほうがやるという感じ。
職業では、顧客ニーズや会社の目的に対してより高いパフォーマンスを上げた人が評価されて見合うお給料を得られるべきだと思うのですが、家庭内においては男女平等とは何かを考えるよりも、家族みんなでそれぞれがやれることをやって、感謝の気持ちを持つことを心がけていくことが、最終的にその家族においての「男女平等な形」につながるのではないかなと個人的には感じています。
「国際女性人権デー」、あらためて男女平等について考えてみるいい機会かもしれません。
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