こんにちは、在仏15年のあおいそらです。
アフリカ初の新幹線、モロッコのカサブランカとタンジェを結ぶ高速鉄道LGV(Ligne à grande vitesse)の一部が11月15日に開通したというニュース。モロッコ国王ムハンマド6世とマクロン仏大統領が車両に乗り込んで、初運転が行われました。
ところで、アフリカ初の新幹線の工事にわが国日本の新幹線の技術はなぜ採用されなかったのでしょうか。
それほど日本側もアジアのプロジェクトのようには熱心に売り込んでいなかったとも言われますが、その理由はなんでしょうか。
フランスの報道から読み解いてみましたので、ご紹介します。
アフリカの新幹線の工事に日本は参入しなかったのはなぜ?
フランスのFigaro誌によると、モロッコのTGVにあたる高速鉄道の開設にあたって、着工式は2011年に行われましたが、2015年の開業を予定していたものの、外国企業の工事契約の破棄や、難航する土地の買収によって完成が遅れたとのこと。
またプロジェクト予算は約21億ユーロに上り、そのうち半分をフランスが贈与したり、融資したりしましたが、これは当初の計画の15パーセントを上回る額だったとのこと。
一方、モロッコは費用の4分の1を負担。残りはサウジアラビアなどの友好国からの融資を受けました。
このアフリカ初の高速鉄道のプロジェクトを通して、モロッコは外国人投資家にとっての「アフリカの拠点」としての地位を作り上げたい意向があるし、
正直スペイン、韓国、イタリアで成功しているとはいえないSNCF(フランス国鉄)のTGVの海外展開プロジェクトではあるものの、フランスとしては鉄道開発ビジネスの可能性の高いアフリカでの商機を狙っていくことを明確にしたい意図があるものと、フランスのニュース専門チャンネルBFMTVは解説しています。
実際、フランス企業であるアルストムが12編成の2階建て車両を受注するほか、そのほか電話回線、信号、配電システム、ホームなどの設備もフランスの会社が供給。
しかし、フランスの植民地だったモロッコの公用語はフランス語であり、モロッコはもはやアフリカではないといわれるほどフランスとモロッコの間のビジネスは盛んであるにも関わらず、開通が予定より3年遅れたことを考えると、言葉も習慣も違う日本とモロッコのビジネスは簡単なことではないとモロッコも日本も判断するのは当然だし、
いくら世界に誇る新幹線の技術を広めることができ、新しい市場への投資チャンスとはいえ、この莫大な融資額と引き換えに、日本として、日本の企業として、数あるリスクを上回る参入メリットを見い出しにくいことは明白です。
モロッコの高速鉄道、今回開通したのはタンジェとケニトラ間
タンジェとカサブランカを結ぶアフリカ初のモロッコ高速鉄道プロジェクトのうち、今回開通したのはタンジェとケニトラ間200kmを結ぶライン。
最高時速320kmで、タンジェと首都ラバトはこれまで3時間40分かかっていたところが、1時間20分で到着できるようになりました。
ずいぶん短縮されましたね。
カサブランカとタンジェ間の高速鉄道、営業開始日程は未定
最終的に工事が完了すると、タンジェとカサブランカ間の所要時間はこれまでの4時間45分から2時間10分に短縮されます。
こちらもかなりの所要時間短縮になりますね。
ONCF(モロッコ国鉄)はサービス開始3年後には、現在の鉄道サービスの利用者の倍である600万人の乗客を見込んでいますが、現在のところ、一般乗客に営業開始になる日程は未定です。
まとめ
アフリカ初の新幹線、モロッコの高速鉄道。全線開通まではまだまだ時間がかかりそうですが、プロジェクトの困難を乗り越えて、早く一般客が乗れるようになる日が来るといいですね。
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