バイリンガル教育は結局中途半端になるとか、アイデンティティがなくなるとか言われます。
本当のところ、小さいときから2カ国語以上に接していきながら言語力をつけていくことは本当に大変なことだと思います。
一方で、やっぱり数カ国後話せたほうが、のちのち仕事をするのにも便利であることは間違いないし、何より人間関係が広がって人生が豊かになりますよね。
わたしは今、フランス語と日本語を話す子供たちの子育て真っ最中です。
今日はバイリンガル教育を子供が受けていくメリットとデメリットについて一緒に考えてみませんか。
それを踏まえた上で課題をどう乗り越えていくのか、バイリンガル教育でも「失敗しない」子育てについてお伝えできればと思います。
バイリンガル教育のメリットは?
バイリンガル教育を受けている真っ最中の子どもたちへのメリットには、例えばまったく外国語を話さないわたしの家族にわたしが仲介しなくても、子どもたちが自分たちで直接意思疎通を図ることができるというのはあります。
このことを考えていたときは、海外に出てきて自分の母国の言葉を話してほしいと願っている自分のエゴかなあと思って悩んでいたんですけれど、今となってはそれよりも大きいメリットがあると思っています。
それは、子どもたちが知らない言語に対しても恐怖を持たないことです。
例えばうちの息子くんはよくわからないはずなのに、Youtube上で、日本語では消されやすい日本のアニメを、スペイン語でみていることがよくあります。
これは数年前のことですが、飛行機の席で前に座った子供と、娘ちゃんが話しているのですが、明らかに日本語でも英語でもフランス語でもないので、何語で話しているの?と聞いたのですが、
よくわからない、と。ヮ(゚д゚)ォ!
相手の子はポルトガル語だったらしいのですが、フランス語とそんなに共通点があるわけではないはずなのに、それでも楽しそうに話しているわけです。
こうして2つ以上の言語が彼らの世界が広がるためのツールになること以上に、どんな言語に対しても臆さなくなって理解しようとするようになる、というのは大きなポイントだなあと感じますね。
バイリンガル教育のデメリットは?
一方、バイリンガル教育のデメリットもあると感じています。
例えば、同じように平日は現地校に通い、週末だけ補習校に通っているお子さんでも、言語に長けているお子さんは何人かいて、その子達は2つでも3つでもそれぞれの言語を使い分けて上手に表現するのですが、
我が家の場合は年齢が進むに連れて、どちらの言語もボキャブラリーが足りないなと感じるようになっていきました。
ボキャブラリーが足りないということは、やはり表現力が乏しくなっていきます。
ここがバイリンガル教育を続けていくことの難しさで、この壁にぶつかったときに、お子さんがどちらかの言語を諦めてしまうことになることは多いようです。
ただし、わたしの経験では、バイリンガル教育を受けているからといって、アイデンティティがなくなるというのは別問題であるといえます。
どちらの言語でも表現力が足りなくなったときに、自分の気持ちや考えていることを表現するのをやめてしまうことが問題なのです。
フランスではフランス国籍を持っている人でも見た目がアジア人だと、外国人扱いされることは普通にあります。かと思えば、日本人からしたら、顔は日本人なのに考えやふるまいが日本にいる日本人らしくない、と思われることがあるでしょう。
大人になってから移住しているわたしでさえ、例えば日本の家族にはそのように感じることがあるようです。でもそれもアイデンティティなんですよね。
ともかく、アイデンティティはいつだって全員にちゃんとあるのです。
バイリンガル教育でも「失敗しない」子育てとは
「バイリンガル教育の失敗」という言葉があるとしたら、おそらく「どちらの言語も中途半端で、人間性もどっちつかずになってしまう」ということを指すんだと思いますが、
しかし、言語がどちらか中途半端になってしまうということはあっても、人間性がどっちつかずというのは悪いことではなくて、それも一つの人間性で、それ自体は問題ではないはずです。
まず、どちらの言語も中途半端にしないためには、それぞれの言語に定期的にどっぷり浸かる時間が必要だと思います。
特に日本語と他の言語のバイリンガル教育の場合は、日本語を身につけるためにはツールであるひらがな、カタカナ、漢字の習得がまず必要なので、時間がかなりかかるもの。
結局我が家では小学生は週2日、中学生は毎日日本語を半日勉強できる学校に行くことに決めました。
それでもはじめは何を言っているかわからなくて、正直かなりイライラしてしまったのですが、普通の会話の中で、5W1Hできちんと表現をする練習を何度も繰り返しました。
毎日の宿題は多いですが、決まった時間、その言語だけを使う環境に身をおくことで徐々にフランス語も日本語もボキャブラリーや表現力が増えてきて、つたえる力がついてきたと感じています。
つぎに、人間性がどっちつかずということについては、例えば典型的な日本人っぽくないということであるなら、相手の考えていることが自分と違うことに気がつけばまったく問題ありません。
親子なら親子の間で、友達との間で、課外活動を通じて、何語でも自分を表現する機会があって、相手がどういうことを考えているかを理解する力がつけば、違いを考えながら振る舞いの仕方を変えることができるし、
その個性的な考えをわかってもらえるようにうまく伝えることもできるでしょう。
バイリンガル教育でも「失敗しない」子育てを目指すなら、表現力がどちらも中途半端になってきたかもと感じたときに、
自分の意見や感じたことを表現できる場所をちゃんと用意してあげることではないかと思います。
親子間であるならば、何語であっても子供の意見や感じたことを聞いて、受け止めてあげたり、意見し合うことが、のちのち言語の上達にもつながるし、
子ども自身が、誰とも似つかない自分の気持や考えをどう伝えていくかを身につけていくことでしょう。
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